コラム

雨の日の備えと逆流性食道炎

雨が多く、肌寒かったりうっとおしく感じる日。

家の中で雨音を聞いているのはとても心地よいですが「いざ、お出かけ!」となると、やっぱり億劫…傘って嫌いです…orz
「雨が降りそうかな、今日は傘 どうしようか…」という日もありますよね。

今日は逆流性食道炎の疑いのある患者さんと、傘のお話。

「胃が痛い」の時代は終わった

逆流性食道炎とは?

胃酸が食道に逆流し、粘膜を刺激することが原因です。
食道の粘膜は、胃の粘膜とは違い、胃酸の刺激から身を守るしくみを持っていません。
なので、胃酸に触れると炎症を起こしてしまいます。
とくに、胃や食道がうんしょ、うんしょと動く機能がおちている場合には、食道が胃酸にさらされる時間が長くなり、炎症が起きやすいと考えられています。

逆流性食道炎は胃だけではなく、胸や喉にも症状が出る

逆流性食道炎の自覚症状

  • 胃のむかつき、モヤモヤ感
  • 酸っぱい水が上がってくる
  • ゲップが多い
  • 喉が痛い
  • 声がかれる
  • 胸が痛い
  • 喉つまりのような違和感

特に「喉が痛い」「声がかれる」というのは、消化器が病んでいると想像もできませんから、耳鼻科に行ったりしますよね。
耳鼻科から胃薬が出ることもあります。では、基本的な情報から。

胃酸が食道まで逆流しやすい「一般的な」原因

通常、食道と胃の境目にある噴門部(ふんもんぶ)では、胃の内容物が食道へ逆流しないように調節しています。しかし、次のような場合は胃酸が逆流しやすくなります。

  • 胃をはじめとした内臓に常に圧力がかかっている状態(妊娠中、肥満、便秘→お腹が出ちゃってる)
  • 噴門部の筋肉の衰え
  • 暴飲暴食、脂肪分の多い食事、不規則な食事
  • ストレス

現代医学における主な治療

の前に、とある患者さんとの会話から見てみましょう。

ケース

「なんとなくモヤモヤする、酸っぱい水が上がってくる」と訴え受診されたAさん。
胃酸を抑える薬と、胃を守るお薬が、1週間分 処方されていました。
その後、キチンと1週間後にいらっしゃいました。

薬剤師:調子はどうですか?
Aさん:あ、けっこう良くなりました(*^▽^*)
薬剤師:そうですか、良かったですねー。
   (寝る前のお薬だから、飲まないで寝ちゃった。と、いう日もあったかな?聞いてみよー。)
薬剤師:お薬、無理なく毎日 飲めました?
Aさん:薬飲んだらすぐに良くなったのですよぉ〜。なので、2、3回しか飲んでません^ ^

うーん、それはそれで良いのですが、逆流性食道炎はかなりの確率で再燃する方が多いです。

最近よく処方される薬

最近ではPPI(ぴーぴーあい・プロトンポンプインヒビターの略)という胃酸を強力に抑えるお薬での治療が主流です。
以前は、ガスターやアシノンなどのH2ブロッカーが使われていました。
PPIは1990年代頃に誕生し、従来のH2ブロッカーより強力に胃酸を抑え、なおかつ効果の持続という点で、あっという間に胃薬の代表格にのし上がりました。
多くの方が素早い効果を期待でき、しばらく維持療法で薬を継続される方がほとんどです。また、すぐに良くなることから、前述の患者さんのように、本当に自分の胃粘膜が修復され、良い状態に自分の力で機能しているのだと思い、薬を止めてしまう方が多いのも事実…。
実際は胃酸が出ないように、薬でストップしているので、やめれば胃酸が出ます。
噴門部の調整が自らできるようになったわけではないので、胃酸がまた上がってきます。
ということで「良くなった(°▽°)」と、薬をやめた患者さんはまた病院の門をたたくことになります。。。
そしてまた薬のエンドレスループ。

一昔前は胃潰瘍、最近は逆流性食道炎の背景

わたしが薬剤師人生をスタートした頃は、胃の病気といえば「胃潰瘍」でした。胃潰瘍は、胃粘膜に深く傷をつけてしまう病気です。
これが十二指腸におきれば「十二指腸潰瘍」と言われます。

一昔前は、とにかく働き続けることが美徳の世の中。
夜中まで、ドリンク剤片手に「24時間戦う」ことがスタンダードでした。
胃酸は夜寝ている時間帯に分泌されます。
お薬の指示が「1日1回 寝る前」なのはそのためです。

ドリンク剤にはカフェインなどやニンニク成分など胃粘膜に影響を与えるものも多く入っています。
体を無理に起こして仕事をしているのですから、本来のリラックスする時間帯に活動モードにならざるを得なく、それだけで「ストレス」を抱えることになります。

学生の頃、銀行でバイトしてました。その時の行員の方たちは本当にこうやって飲んでいました。

この頃に誕生したのが、ガスター(1985年)です。

とってもカンタン♪ 胃潰瘍の作り方

どんなに残業しても、人は「夜遅くにものを食べない」という意識が働き、固形物は摂らないけど、代わりのために飲み物は飲む。
それが、ドリンク剤やコーヒー。
胃内がかっらぽの状態で胃酸が出続け、胃を荒らすものを入れるのですから胃の粘膜はどんどん傷つき悲鳴をあげます。
または、しっかりは食べられないけど…と言いつつ機能性食品や夜食を食べる。
消化のためにまた胃酸が分泌。

ね? カンタンでしょ(^^;

逆流性食道炎が増える2つの社会背景

スイッチOTC

最近は「胃潰瘍です」という患者さんはめっきり減りました。
ガスター10が市販薬で発売されたので、調剤薬局にまでお目見えにならなくなったことも理由です。
ガスター10は、医療用医薬品が初めて市販薬として承認を得た画期的なことでした。こういう医薬品をスイッチOTCと言います。

医療用医薬品から市販薬に切り替える、すなわちスイッチを切り替えるようという意味から

この時点で現代医学では、胃潰瘍患者を見捨てたとも言えます。
なぜか?

1つは国の医療費がかさむから。
市販薬で買ってもらえれば、製薬メーカーは窮地に追い込まれることもないし、医療用医薬品より割高で売ることができます。

2つ目は、国民にセルフメディケーションしてもらえれば、医療機関はガンなど、より重篤な方を診ることができます。
現代医学の最も関心が高いのはガンです。
胃潰瘍の何が原因で、どうやったらその症状とは縁が切れるのかまではめんどうみきれない。

要するに真の治療家としてやらなければならないことを怠ったことになります。

逆流食道炎×教育

では逆流性食道炎はいつから増えてきたのでしょう。

おもしろい表を見つけました。
平成8年頃から逆流性食道炎の患者さんが増えているということを示した表です。

平成8年頃、日本でおきた大きなこと・・・。
それは、「ゆとり教育」でした。
ゆとり教育って子どものためのものですよね。
「ゆとり」なのですから、なんのストレスもなさそうではないですか?

ゆとり教育が始まった背景はここでは割愛しますが、その1つには、一足先に大人は週休2日になって余暇を楽しもうという時代にシフトしていて、
「あれ? 子どもは学校行ってるの? 家族でお出かけできないね…」
ということもありました。
当時、子供たちは隔週の土曜日はお休みでしたが、まだ完全ではありませんでした。
大人達の楽しみの多くは飲食が伴います。
行楽地には、ソフトクリームやポップコーンなど楽しみたい誘惑もたくさん!

現代は、こどもの逆流性食道炎が増えています。

理由は、大人と同じ。

  • 胃をはじめとした内臓に常に圧力がかかっている状態(肥満、便秘→お腹が出ちゃってる、猫背も関係あり)
  • 噴門部の筋肉の衰え(暴飲暴食、脂肪分の多い食事、不規則な食事時間)
  • ストレス(塾、習い事、学校カースト制とか?)

特に猫背は、たまごっち、カードゲーム、DS、スマホでのオンラインゲームなどが影響します。

公園でもゲームする子が本当に増えました

医師はお母さん⁉

医師は、上記のような食生活や生活習慣まで細かに問診しません。
なので、不摂生にはさほど口やかましくなく、優しいお母さんのように「薬のんでみる?」と言うだけです。
胃カメラせずに薬を飲んでみてもらう時もあって、薬が効いたら「あ、やっぱりそうだったんだね」という療法がガイドラインにあるくらいです。

というわけで、ようやく傘 登場(笑)
忘れてたよね? はい、わたしも(^^;

傘は雨をしのいでくれますが、晴れさせることはできません

薬の役割は治療ではないという事実

薬というのは傘でして、一時しのぎなわけです。
もちろん効果はあり、あったらそりゃあ便利なわけですけど、根本的にいらない状態になるわけではない。
本当にいらない状態というのは、傘であれば、晴れていて手に持つ必要がないときのことを言うわけでしょ?

で、薬を飲まないとすぐに再燃しちゃうという状態は「曇っている」。
けど、雨は降っていない。自分が雨に濡れるかどうかはわからない。みたいな感じ。
医師としてはそういう時でも「雨降りそうだから、そのままだと濡れて大変なことになっちゃうよ。傘さした方がいいって!悪いこと言わないから、曇っていてもさしなよ~」みたいなことだと思うのです。

まるっきり、朝 子どもを送り出すお母さんそのものです。

まとめ

逆流性食道炎の治し方

自分で治すには、原因となる行動をやめるだけです。
すなわち、食を整え、腹八分目、お通じを良くして、姿勢を正す。
食を整えるだけで、ストレスも回避できます。

こうやって文字にすれば、たったの45文字。

ここに行き着くために様々なメソッドがありますし、情報もネットですぐに検索できるので、ご自身のお好きなものを試してみてください。

食は個人との深い関りがあります。もっと根本から治療したい方はこちら

薬とは何か?

薬の発明はこの世の最大の悲劇である。

そもそも病気を引き起こしてしまったライフスタイルに対して、継続の許可を与えているようなものだ。


アメリカのファミリドクターであるジョエル・ファーマン

オーダーメイドの自然療法:ホメオパシー講座

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