OLさんのランチが終わって、化粧直ししながらのおしゃべり
「ねぇねぇ待ってよ~。一緒に行こうよぉ~」
「えー、トイレに行くだけだよ。この間は1人でランチに行っちゃったじゃない。」
「えへへ。ごめーん」
「いつも、ポーチの中きれいだよねぇ。」
「順番通りに並んでいないとダメなんだよね。リップクリーム、口紅オレンジ、口紅ピンクって並べて、チークはここで、パウダーはここで…」
「デスクの周りも、あなただけいつも整頓されているよね」
「うん、課長のお菓子の食べかけとか、フィギュアがぐちゃぐちゃに置いてあったりとか、ああいうの信じられない!気持ち悪い!この間も大事なファイル無くしてるんだよ!だからつい言っちゃったよね、もっと日頃から整理整頓した方が良いですよって」
「あー、そういえば課長移動になるらしいよ。新しい課長が来たらまたチームを入れ替えるっていう噂だよ。あなたを新しい部署に行かせるっていう話もあるじゃない?」
「それね! 私絶対ヤダ! みんなと一緒にいたいよぉ~。絶対断る!」
「どうして?抜擢されてるんだよ?すごいじゃない」
「ダメダメダメ! 絶対今までのチームがいい! 課長が変わるのも嫌だから、この間課長に言ったんだよね。」
「えー、そんなこと言ったの?!」
「無理だって、言われた。」
「でしょうね」
「とにかく、チームの入れ替えは仕方ないにしても皆の顔が見れる所にいたいよー。あー、今日はコーヒー飲む時間なくなっちゃったなぁ。」
「コーヒー好きだよねぇ。デスクに戻ってから飲めば良いじゃない?」
「ランチの後にコーヒー飲むの習慣なの。だから崩したくないのよ。デスクに戻ってから?時間ないかも…。」
「午後からの仕事は?」
「病院の午後イチで2時に予約入れたから、それまで取引先に電話したりメールしたりかな。新作についてのミーティングは4時~だから、バタバタだよ。それ終わったらリーダー会議。シフト組んだり、売り上げの計算とか誰もやってくれないんだもん。あーあ、1日27時間くらい欲しいなぁ」
「あはは、無理だよ(笑)。病院って?どこか悪かったっけ?」
「高校生くらいから喘息なんだよね。夜中になると発作で起きちゃうことがあったの。だから定期的に薬もらって吸入してもらってるんだ。先生はもう大丈夫じゃないかって言っているけれど、何かあったら困るから先生のところには行きたいの。薬も弱ーいのもらってるんだ。」
「えー、そうなんだ。この前も薬局で薬買ってなかったっけ?」
「吐くのと下痢と一緒になった時があって、最悪だった!その時は急性胃腸炎って言われたけれど、それから怖くて整腸剤飲むことにしたんだ。もう本当に死にそうだったんだよ!おじいちゃん、胃がんだったから私も?とか、もう仕事できなくなったら家賃どうしよう?とか、寝ていて鍵かけ忘れたら泥棒に入られちゃう!私のコレクションが盗られちゃう!」
「えー、ただの胃腸炎でそこまで思う(笑)?コレクションって?」
「もう、本当に!本当に死にそうだった。 アンティークのシュタイフを何体か持ってるの。それもね、年代順に並べたいのよ。この間姪っ子が来た時、順番ぐちゃぐちゃにされた。もう並べ替えるのにけっこう時間とられて、その日お風呂入ったの夜中の2時だよ?」
「朝入れば良いじゃないー」
「ダメだよー。毎日やることしないとなんか落ち着かないんだよね。お風呂から上がって次の日の服も決めてから寝るのが決まってるんだよね。」
「いやぁ、すごいね。前からお洒落というかピシっとしていると思ってたんだよね」
「そういえば私、投資始めたんだ。あなたもやってみない?」
「無理無理! そんなリスキーなことできないよ。私は給料の天引きで十分。将来孤独になりたくないから、サービス付き高齢者住宅に入れるようにしておきたいの!だから、外でのランチも750円まで!いつもお弁当って決めてるの!」
「飲み物も絶対買わないよね」
「うん、冷たいのが好きだけれど、一気に飲まないからぬるくなるの嫌なんだよね。だから保冷できる水筒がいいんだ」
「けっこうこだわりあるんだねぇ」